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2015/10/14

5レベル侍祭のデイドラ行脚――クラヴィカス・ヴァイル

クラ20000“へぇ、これは珍しい。力なきものが僕を呼ぶときは、大体今に絶望しているものだけど……君たちはそこまで落ちてはいないようだ”

 クラヴィカス・ヴァイル。悪魔召喚の儀や契約を通じ力を下賜することを司るデイドリック・プリンス。その対価は魂。デイドリック・プリンスの信者が死後彼らの領地に魂が向かい、デイドラ達がそれを求めているのは事実であるが、ヴァイルは特に率先して魂を求める。
 だが、魂を差し出してでも叶えたい願いを持つものは少ない。よって、ヴァイルと契約を結ぶものは、世界に絶望し、追い詰められたもののみ。さもなければ生粋の信者である。信者でも、絶望してもいないヴィオラたちが彼を呼ぶのは、極めてまれな事であった。

“まあいい。本当はもっと強い戦士に用があったんだけど、君、僕を呼び出すだけ呼び出しておいて特に交わしたい契約も無いようだし、僕の頼みを聞いてくれよ。
 剣が欲しいんだ、ウンブラと言うね。かつての契約で僕の物になったんだが、色々あって手元から無くなってしまってね。取り戻してきてほしいのさ。この近くにあることはわかってる。ペルの門、ペルの門だ。そこを起点にして調べてみるといい。もし取り戻せたら、素敵な仮面を差し上げるよ”




「ウンブラ、ねぇ……」

 森の中を歩きながらヴィオラは呟いた。その名はタムリエルの伝承と言う書物に出てくる。タムリエルにまつわる秘宝について書かれた有名な本だ。
 魔剣ウンブラ。古の魔女ナエンラ・ワーエルによって作られた生者の魂を啜る剣。一説にはこの剣の作成にクラヴィカス・ヴァイルの力が使われていると言う。だが、剣はヴァイルの手に渡らなかった。
 伝説によれば、魔女の死後剣は世界を転々とし、手にした者を魂の飢えへを導くと言われている。

「……それ、大丈夫なの? 回収の時に呪われたりしない?」

 ヴィオラからウンブラの情報を聞いたリアは、わずかに顔を青くして呟いた。当然だ。剣を取り戻すという仕事なのに、その剣を取り戻したら呪われるとあれば、先行きは暗い。

「……多分、大丈夫だと思う。そういう邪悪な力から心と魂を守る術は、村で習ったから」

 聖職者は、常に悪魔から魂を守るすべを学ぶ。九大神の侍祭であればその心得は当然ある。……かつて捨てた信仰の秘術が身を守ることとなるとは、世の中皮肉である。
 そこへ。

“おい、嬢ちゃん! おれっちの話を聞きな! あいつの頼みなんて聞いちゃダメだぜ!”

 そんな声が降ってきた。
クラ40000“俺の名はバルバス。クラヴィカス・ヴァイルの相棒さ。
 うん? どこにいるかわからねえ? ここだよ、嬢ちゃんの服の中さ。いやー、あまりに薄着過ぎてどこにもぐりこめばいいかわかんなかったぜ!”

 即座に懐にあった犬の置物を投げ捨てた。ヴィオラたちは蛮族だから見られても気にならないが、乙女だから触っていいわけではないのである。

“酷いな嬢ちゃん。ま、いいさ。クラヴィカスの依頼は投げうっちゃいな。あいつはその剣に関してはあいつはちと理性が飛んでてな。碌な事にもならん。ウンブラなんか渡したら、あいつの領地に致命的な破滅が起こるかもな”
「……はあ」
“……聞く気、なさそうだな”
「まあ、正直。せっかくヴァイルに近づく機会ですし、そもそもあなたの言ってることが正しい保証もありませんし」
“そりゃそうだ。そういうなら好きにしな。碌な事にゃならんと思うがね”

 バルバスは拗ねたようにつぶやくと改めてヴィオラに荷物袋にもぐりこんだ。なぜどうやって気付かれずにヴィオラのおっぱいの間に最初潜りこんでたのか。これもまた神の従者の神秘と言うことか。

クラ60000「ウンブラか。聞きたくもないなだが、答えんわけにはいかないだろうな」

 帝都南部にある農村ペルの門。グレンヴァー城の所領として扱われている。
 その村に住人の一人が、ウンブラについて知っているというので尋ねたところの返事がこれであった。どう見ても目がヴィオラとリアの胸やお腹に向いている。このスケベ親父め、白髪の癖に。

「それで? 聞きたいのは剣かね? それとも人かね?」
「私たちは剣のウンブラ事しか聞かされてないんですが、ウンブラと言う名の人もいるんですか」

 男――イルロークは頭を掻いて答えた。

「ああ。ウンブラの剣。紛れもなく強力な剣さ。漆黒の長剣で……魂を啜る力があるそうだな。……今は、レンウィンと言う女が持っている。彼女はわしの弟子だった。
 素直で才能のある子だった。だが、あの子が剣を拾ってからは……レンウィンはいなくなった。あれ・・は今はウンブラと名乗っている。
 ヴィンダセル遺跡で見た、という噂があるが……行くのなら用心していくといい。彼女は天才だった。ウンブラもまた、最強の剣士の一人足りえるだろう」

クラ230000  ヴィンダセルは帝都を囲む赤輪街道レッドリングロードの真南、ヴァイルの聖地とペルの門の丁度間あたりに存在していた。街道からよく見える遺跡であり、この道を通る旅人ならば誰もが見たことがあるだろう。
クラ240000「私、アイレイドの遺跡ってもっとこう、すごいものだと思ってた」
「まさかカニと鼠しかいないなんてね」

 アイレイド――古のシロディールを支配し、人間種族を奴隷としていた強大な魔法を使うエルフ――の遺跡はスカイリムにも噂が届いている。そのうわさから、凶悪な魔法トラップや魔法生物の守衛ガーディアンなどに溢れているかと思えば、ヴィオラの簡単な護身用魔法で対処できる程度とは、拍子抜けである。
 ……言い換えれば、それらの障害はすべてウンブラが剣ひとつで排除したことになるのだが。

クラ110000「我はウンブラ。貴様は今、ウンブラに話しかけるという危険を冒しているのだ。命が惜しければ去るがいい」

 遺跡の奥にいたのは、エボニー製の甲冑に身を包んだウッドエルフの女であった。あまり若いとは言えない。
 かつてレンウィンと呼ばれた少女は既に少女ではなく、ウンブラの名に囚われた中年の女剣士にすぎなかった。……あるいは、ウンブラに蝕まれた魂がエレンウィンから若さを奪ったのか。

「そのウンブラが欲しくて来たのだけど」

 臆せずにヴィオラは話しかけたが、それは最悪の選択肢である。

「そうか。ならば生きて返すわけにはいかない。ウンブラは飢えている。長年ここに引きこもり、人と触れぬようにしてきたが、ここにそのような用件できたお前たちの不運、贖ってもらうぞ」

クラ130000 言うが早いか、ウンブラを抜き放ち切りかかってくるウンブラ。抜く手も見せぬ一閃はまさに達人の業であるが、ヴィオラもただ無防備に話しかけたわけではなかった。
 会話が終わる前から魔法の準備はできている。ウンブラが柄に手をかけるよりも早く召喚魔法を唱えていた。

「来なさい、ダークセデューサー!」

 魔法と共に呼び出される黒鎧の女戦士。デイドラと定命のものの差はあるが、いみじくも黒き女戦士同士の一騎打ちとなる……はずであった。

「へ?」

 一閃。その初撃は、ヴィオラの後から動いたにもかかわらず、ダークセデューサーが呼び出され終えるより早く振り抜かれ、実体化しきらぬダークセデューサーを一撃で切り伏せた。
 そのまま返しの袈裟懸け。それは当然、予想外の事に呆然とするヴィオラを即死させるはずであった……。

クラ250000 だが、ここで紙一重の幸運がヴィオラに降り注いだ。呆然としてたがゆえに、バランスを崩すヴィオラ。その不運が間一髪、即死を避けることができる程度に剣をそらすことへとつながった。

「姉さん、逃げて!」

 ようやく状況に追い付いたリアが銀の斧を抜き放ちウンブラに突撃する。無論、勝てるはずがない。リア自身優れた戦士だが、相手が山賊程度ですら数で囲まれれば十分負け得る程度でしかないのだ。恐るべき力と技、そして強力な武器を持つウンブラには、万に一つの勝ち目もない。そんなことはわかっている。だが「それ」と「これ」とは別なのだ。ヴィオラはリアにとって唯一残された家族なのだ。まあ故郷おん出た兄貴分とかいるが、それでも今ここにいる唯一の家族なのだ。ならばどうして見捨てられよう、切り捨てられよう。否、己が命を捨ててでも守りきる――!
 ヴィオラは駆けだした。意識しての事ではない。幼馴染の声と気迫に突き飛ばされただけの事だ。だから気付かない。ヴィオラ一人が逃げた後、リアがどうなってしまうのか。その最も高い可能性に。

 ただひたすら逃げる。振り返らず、頼みの綱のダークセデューサーを召喚し。
 わずか一合でリアが倒れ伏した事実に気づく余裕もなく、ただひたすらに。

クラ260000クラ150000クラ160000

 何度薬で傷を癒したか。
 何度ダークセデューサーを召喚したのか。

 ――何度、ダークセデューサーはあの魔人をわずかにでも傷つけることに成功しているのか。

 それすらもわからぬまま、ヴィオラは遺跡を出た。あとになって振り返れば、決して深い遺跡でもなかったはずなのだが、その解放感たるや三日三晩逃げ惑っていたに等しい。
 だが、もはや遺跡の外に出たのだ。ならば近くに衛兵はいないだろうか? 旅の冒険者でもいい。ここで彼女から助けてくれるなら……そう、それに、リア。リアは無事だろうか? 二人を助けてくれる、都合のいいヒーローがいるなら、それこそ今の彼女はそんなヒーローに何でもしただろう。
 だが人気はない。
 オブリビオン・クライシスが終結し、人々に活気が戻ったとはいえ街道に常に人がいるなどと言うことはない。そもそも平時でさえそれなりに危険があるのだから。
 だから、彼女の心を占めるのは絶望。ここから人里まで走り続ける体力などはない。追いつかれれば必ず殺される。そして追いつかれない理由など絶無である。

 ……だが、歩く気力も失ったヴィオラの前に、ウンブラは現れなかった。

 一分が経ち、2分が経ち。
 3分が経った頃、ようやくヴィオラは歩き出した。彼我の距離の差を考えれば、3分たっても現れないなど不自然極まりない。まさか遺跡の外に追い出せたから満足して持っていった、などと言うことはないだろう。魂に餓えたあのウンブラが。

クラ170000「あ」

 他に言葉はない。
 幾度も呼び出したダークセデューサーは、確かに役目を果たし、わずかではあっても傷をつけていたのだ。そして、遺跡を出る直前に呼び出した彼女が、相打ちの形でウンブラを倒したのだろう。ヴィオラは安堵とともに腰の力が抜け、その場に座り込むことになった。
クラ180000 とりあえず、装備は剥ぎとった。


クラ190000“ああ、ようやく帰ってきた……! よくやったよ定命のもの。ダメもとで送り出したけど、何とかなるとは思わなかった! これだから定命のものは侮れないな”

 長年の悲願であった剣を手に入れ、クラヴィカス・ヴァイルはご機嫌であった。命がけであったヴィオラとしては何とも言えないが、とにかくリアも気絶で済んでいて大団円である。

“そうそう、約束の品を渡さないとだね。これだ。僕のマスクさ。これを被れば、君はこの世のものとは思えないほど美しい存在に見えるだろう。それをやるよ。良いものだろう?
 それじゃあ、僕はこれで。ウンブラとの間にはまだ終わってない仕事があるのさ”

 こうして、クラヴィカス・ヴァイルの仮面はヴィオラの手に渡った。
 パッと見は雄々しい戦士をかたどったヘンテコ仮面に過ぎないが、試しにヴィオラが被って街中を歩いてみたところ、ナンパの山に押しつぶされそうになるわ、うっかり路地裏に行けば変質者に近寄られるわでさんざんな目に遭ったため封印となった。買い物の折には活用されるようである。どっとはらい。
クラ210000(C)鋼鉄蒸気 さん(ロゴ)









クラ220000 鎧は重いので売り払ったけどNA!


補足
タムリエルの伝承:
 オブリゲーム内で見かける書物。タムリエル大陸全土のアーティファクトについて書かれている。もちろん全てではないが。
 ただ、ここに記載されているすべてのアーティファクトを手に入れられるかと言うとそんなことはない。と言うか、ほとんど出てこない。
 もともとは前作Morrowindから登場し始めた本で、むしろ前作で記載分すべてを入手できたという。よって、前作の主人公であるネレヴァリンはとんでもないアーティファクトコレクター足りえるのだが……実際のところ、めっちゃ高く売れるのも事実なので使わないものは売り飛ばすネレヴァリンも多数いた模様。
 うちの世界線? ある程度は持ってるけど、いくつかは紛失・盗難・売却・貸出等で無くなってますよ。具体的には、設定上絡まない限りはMOD見つけたら追加してる。

邪悪な力から心と魂を守る術:
 メインクエでマーティンが習得していた奴。ザルクセスの書を解読するとき、その所に取り込まれないよう使用していた模様。
 そもそも、アメリカ製のゲーム、と言う時点で宗教観にキリスト教の要素が入り込むことは避けられない。よって、邪悪な悪魔の誘惑に対抗するため、神に祈りをささげはねのける、と言うのは多分一般的な考えだと思われる。
 敬虔な九大神信者にとって、デイドラは悪魔も同然なのでこういうのは普通に学ぶものだと推測。でも、今のヴィオラは一体誰に祈りをささげてウンブラの誘惑をはねのけるんでしょうね?

バルバス:
 ヴァイル像の横にあった変な動物の像。一応犬らしい。
 今回はインベントリに追加される石像と言う形で登場するが、次回作のSKYRIMでは普通のわんことして登場する。愛くるしい。ただ、元はヴァイルとの契約を保護にして捕まったレッドガードだったとか。前作MORROWINDではスキャンプの商人として登場したとかしないとか言われるが……待てバルバス。お前契約保護にしてウンブラ手元に残したら、それこっちも犬にされないか?

服の中:
 パンティの中ではなく、実は胸の谷間だった不思議。そこ、支えになる布ありませんよ。
 実際にはインベントリの中に存在し、会話でも荷物袋の中と表示されるのだがノリでこんなことに。装備外見上はないが、荷物袋は持ってるって設定ですよ。
 具体的にどういう形でそこにいたのか、は読者諸兄の想像に任せる。理屈は全部、神の使い魔の力、で済ませろw

グレンヴァー城の所領:
 グレンヴァー城自体がMOD。なので、近いし多分そうなんだろう、と言う設定。
 時系列上、既にカエルレウムが領主になってますが、今日もすれ違う幼馴染トリオであったとさ。

最強の剣士:
 本当に強い。Vanilla最強の一人と言っても過言ではないほどに。こちらの動画のシリーズを全部見ると、その強さがよくわかります。
 レベル50の戦士で関連スキルと能力値が100、さらに毎秒HP2点回復と言うチート性能。

エボニー:
 黒檀と訳されるが、木材ではなく鉱石。なぜそのような命名になったのかは不明だが、モロウィンドを名産地とする極めて頑丈で魔力との親和性が高い素材、とされている。
 シロディールの魔術大学の付呪技術ではあまり関係ないのだが、モロウィンドで一般に広まっている付呪技術では、素材によって込められる魂の力に限界が生じる。
 最高のデイドラ装備は今でこそオブリビオン・クライシスで流通量が増えたが、元来現世にそうあるものではないので、エボニーが最高の品となる。当然超貴重品。
 管理人的に、装備の素材の世界観に関しては思うことがあったので、ニコ動のブロマガに記事を書いた。読んでください。
 余談になりますが、うちの眩しい女が革っぽい服装をしてるのは、この記事にある通り「目立たない素材の装備」と言うチョイスによります。

中年:
 レンウィンさん35歳。内部年齢が。人間換算だとどうなるんでしょうね?

遺跡を出た:
 自力で何とかしようとして、8回死んでます。一応遺跡にはガストラップとかあったので、それに引掛けようとしたんですが……先にこっちが死んだw
 で、仕方なく、帝都壊滅の危機を受け入れてでも衛兵に押し付けよう、とした結果がこれ。

「あ」:
 管理人の素直な感想。召喚し、遺跡に出た時点で残り2秒。どうして勝てたのか。ウンブラオートリジェネついてるからダメージが溜まってたって線も薄いし……。バグってコメントをブロマガの方でもらってますが、まあいいやw

クラヴィカス・ヴァイルの仮面:
 ゲーム内書籍タムリエルの伝承にもその名を確認できる。この仮面には逸話があり、クラヴィカスと契約をして仮面を手に入れた女性が男爵と結婚したが、1年後に契約が切れたと取り上げられてしまい、身籠っていたのに男爵に捨てられる、と言うお話。息子が母の仇は討ったそうで。
 こんなデザインの仮面だが、物凄い効果がある、と言うことなのだろう。オブリでは何年ゲーム中で持っててもなくならないのでご安心を。

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