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2016/02/06

おかーさんの死霊術研究記 The Ayleid Step その3

Oblivion 2016-02-04 02-42「……で、これが帝国軍からの依頼、ねえ」

 街角に張ってあったポスター。普段から眺めていなければ、見落としてしまいそうなそれらの中の1枚を眺め、ママリアは呟いた。

Oblivion 2016-02-04 02-42_1 そこに書かれていたのは、アイレイドステップの研究に向かったまま行方不明になったというダンマーの捜索依頼であった。戦士ギルドに依頼をしていないのは、ここが帝都だからであろうか?

「アイレイドステップ監視隊……この間の記事を受けて、そんなものが設立されたって事かしら?」

 あるいは、帝国軍自体が以前からステップの専有化をもくろんでいたのか。ほぼ即日に立ち上がっているであろうことを考えると、双方であったかもしれない。


Oblivion 2016-02-04 02-46_1 人づてに聞いて回ったところ、担当者であるテルティナはウェイー方面に巡視に行っていることが分かり、タロス大橋で会うことができた。

「フラーヴェン・イレーヌの捜索を担当してるのはあなた?」

 その一言で、テルティナは要件を理解したのだろう。わずかな躊躇もなく答えた。

「冒険者の方ね? そうよ、ここしばらく彼女の姿が見えないらしいの。アイレイドステップの調査に行く、と周囲には言っていたようですけれど。
 我々は、彼女の行方と、彼女の身に何が起きたのかを知りたいの。生きて連れて帰るか、あるいは彼女の死を確認し、遺品を持ち帰ってくれれば300セプティムをお支払いするわ」

 300セプティム。決して安くはない額だ。……少なくても、一般市民にとっては。冒険者にとっては腕前によるだろうが。

「わかったわ。でも調査の糸口になりそうな情報は無いの? 対象の名前と性別が分かってるだけじゃ探しようもないし、アイレイドステップなんていくらでもあるわ。しらみつぶしに探すにしても向かった方角がわかるだけでもずいぶん変わるのですけど?」
「当然の質問ね。チェイディンハル戦士ギルドのグロ=ラコールが最後に会った、と言う情報があるわ。流石にチェイディンハルまで足を延ばす余力はないので、フットワークの軽い冒険者に頼むことにしたのよ」
「なるほど。ところで、見つかったら報告はどうすれば?」
「それは私に。今回の件については、私が正式に評議会から一任されています」
「なるほど。わかりました。それでは」

 テルティナと別れたママリア達だったが、ママリアの意識には不審の糸が引っ掛かっていた。さながら、細い糸が髪に絡まっているかのように、些細な、しかし無視することができない存在感で。
 だが、その糸が具体的にどのようなものであるかも、それが正しい事であるかも、この時のママリアには理解することができなかったのである。


Oblivion 2016-02-04 02-51_1「それで、戦士ギルド、ね」

 戦士ギルドチェイディンハル支部を親の仇を見るような視線で見上げるママリア。メイコは、そんな飼い主の態度を不思議に思ったようだ。

「ご主人様、戦士ギルドに何かあるにゃ?」
「ああ、別にそうじゃないのよ。ただ、戦士ギルドってちょっと……凄く……苦手と言うか嫌いと言うか……汗臭そうじゃない?」

 メイコと、横で聞いて他シスタリアもコントよろしくずっこけた。

「それは誹謗にゃ……」
「戦闘魔術師も……汗臭い」
「シスちゃん、それフォローじゃないわよね?」


Oblivion 2016-02-05 03-17「あなたがグロ=ラコールさんですか?」
「応とも、俺がナーブ・グロ=ラコールだ。指名依頼かい?」

 戦士ギルドにいたオークの男は、ママリアに話しかけられると相好を崩した。オークとハイエルフ、種族の特徴たる顔立ちは大きく違うため、ママリアの美貌を好んだ、と言うわけではないが、異種族婚も可能なこのタムリエルにおいて、やはりその大きな胸は男の好意を引き出すのに大きく役立つ。更に指名依頼であれば、依頼料も期待できるはずであった。
 ……と、本人は思っているのだが、実のところ、不意打ちで魅了魔法をかけられている。その事実に彼は気づいていなかった。……それが彼にとって幸か不幸かは知らないが。

「いえ、違います。行方不明のフラーヴェン・イレーヌさんの捜索を請け負った冒険者よ。貴方が最後に会ったと聞いて」
「ああ、そういうことか」

 なんだ、とまでは言わなかったが。明らかに落胆はしたようであった。

「悪いが、行き先までは知らねえよ。ちょっと一緒に飯を食っただけだからな」
「どこでですか?」
「ん? 帝国橋亭さ。仕事で近くまで行ったんでな」

 帝国橋亭、と言えば、帝都からレーヤウィンに向かう藤黄街道イエローロード沿いから少し外れた場所にある宿屋であったはずだ。丁度、ブラヴィルから川を渡ったあたりにある。

「ずいぶん遠くまで行ったのですね、さすが戦士ギルド。体力在りますね」
「ははは、俺らは体が資本だからな。これくらいは軽いさ」

 ママリアのおだてにあっさりと乗るナーブ。

「それで、彼女アイレイドステップの研究をしていたはずなんですけれど、それについては何か言っていませんでしたか?」
「ん? ああ、そういえば、あいつはステップ渡りの最中だったみたいだな。西の教会近くの水中にあるステップを使う気だとかなんとか」

 ……ステップ渡りを何度もしているママリア達にとって、それはもはや答え以外の何物でもない。ステップ渡りで、隠されたアイレイド遺跡に飛び……トラブルに巻き込まれたのだろう。
 ありがとうございました、とあいさつもそこそこにママリア達はブラヴィルへと向かった。


Oblivion 2016-02-05 03-40 ブラヴィル東方。面する大河の中央には奇妙な島。……数日前、この島に大魔術師アーチメイジと戦士ギルドのギルドマスターが向かったのではあるが……彼女たちには関係のない話である。
 いずれにせよ、この川の向こう側に件のステップが存在する。都市間の移動は馬車の定期便を使えばいいが、街道のど真ん中で途中下車はできないためこのルートが最も手っ取り早くなる。泳ぐのが負担でなければ、だが。

「さすがにこの格好で泳いだら死ぬわね」
「……お姉ちゃん、体、大丈夫なの?」

 生前、ママリアは先天性の死病を患っており、日光を浴びれず、走ることもほとんどできない体であった。当然、大河を泳ぐなど不可能。しかし、リッチと化した今、日光を苦にした様子はない。

「ええ、……まあ、別に病気が治ったわけじゃないんだけれどね。結局、死体だから、この体」

 病を患っていようとも、生理機能がなければ悪化しない。さらにリッチ化によって増大した魔力で生理機能と関係なく受ける悪影響を押さえることにも成功している。わざわざ肌を晒すような格好を選んでいるのは、それまでの反動であろう。


Oblivion 2016-02-05 03-47「だからほら、水着だって用意したわよ!」

 誰も見ていないことをいいことに、青空の下着替える姉と、無理やり生前、しかも子供のころの水着を着せられる妹。生理が来るより前に着ていたものなのに、未だに着れてしまう自分が恨めしい。
 一方、メイコは水着は不要と断った。素っ裸で泳ぐ気のようだ。……まあ、猫だし。


Oblivion 2016-02-05 03-51「ここね」

 大河を泳ぎ、話の通り水中に沈んでいたステップを前に準備を整える。この先は、まず間違いなくアンデッド、またはヴァンパイアの巣窟である。



3-10000「マヒャド!」

 遺跡にメゾソプラノが響き渡る。放たれた氷柱は矢を番えようとしていた灼熱のスケルトンを貫いた。
 想定通り、ここはアンデッドの巣窟であったようだ。人前ではない故に、ママリアはリッチとしての本性、その膨大な魔力を行使できる。
 最強のアンデッドとも言われるリッチが、高い知性を保ち、その膨大な魔力を惜しみなく振るうとき、有象無象のアンデッドどもに抗するすべがあるであろうか?


3-20000「あ」

 ――うっかり、自分の放った魔法に巻き込まれたりさえ、しなければ。


3-30000 遺跡は小さいものではあったが、それでも並の魔術師や冒険者が探索を行えるものではなかった。

成りそこないリッチ、3体くらいいたものね」

 故に、この結末は必定。即座に外に逃げ出さなかった時点で、覆すことのできぬ定理となったのである。
 ママリアは、わずかに腐臭を放ち始めた指からそっと彼女の名を刻んだ指輪を抜き取った。



Oblivion 2016-02-05 18-24「……そう。駄目だったの」

 ママリア達から報告を受けたテルティナは、痛ましげな表情で俯いた。

「可哀想に。彼女はひどく……いえ、何でもないわ。彼女を救う手だてはなかったのよね」

 当然だ。魔術師として医学も学んでいるママリアやシスタリアの見立てでは、彼女らが依頼を受けた時点ですでにフラーヴェンは死んでいた。遺体を見れば、テルティナにも一目瞭然だろう。軍人として、死亡時期を見るすべは学んでいるはずなのだから。

「それで、彼女はどこにいましたか?」
「ステップの先、失われたアイレイドの遺跡ね。アンデッドの巣窟だったから、彼らにやられたんだと思うわ」
「失われたアイレイドの遺跡! 見つけていたのね……。それで、その遺跡について詳しく聞いてもいいかしら?」

 やや悩んだが、ママリアは了承した。彼女、あるいは帝国軍が遺跡の秘宝を求めている可能性はもちろんあったが、ママリアにとって別段それは気になる話ではない。
 ママリアにとって、遺跡荒らしは趣味のようなものだ。別に秘宝を独占したいわけでもなければ、危険な遺物を封印せねばと言う使命感もない。ついでにいれば、あの遺跡に在っためぼしいお宝はすべて持ち去っている。知られて困る話ではなかった。

「――なるほど、有益で興味深いお話でした。またステップに関する事件が起きたら、貴女の力を借りるかもしれません。勿論、報酬付きでね。魔術師としての知識と実戦力を持つ冒険者は貴重ですから」

 冒険に出る者の大半は戦士である。つまり傭兵だ。戦士ギルド員とは限らないが、最大のライバルであるブラックウッドカンパニーが勢力抗争に敗れ、戦士ギルドの傘下に入って以来、その多くが戦士ギルドに所属していることになる。
 魔術師の中にも未知なる知識を求め冒険に出るものはいるが、彼らは主に象牙の塔で学んだ学者であり、護身用の魔法を覚えてはいても実戦の経験どころか、戦闘訓練さえ積んでいない。傭兵を護衛に雇うか、さもなくば冒険で死ぬのが常であった。そして、戦闘訓練を受けた戦闘魔術師は、学者としての知識に疎い。あくまで実戦で魔法を利用するための訓練を積んでいるにすぎないからだ。

「そうですね。その時はよろしくお願いします。あちこち旅をしていますが、基本デイゴンの斧亭を拠点にしていますので」
「わかりました。その時はそちらに連絡を取るようにします」

 テルティナと別れ、ママリアは息を吐いた。

「……さて。帝国軍と彼女は、味方なのかしらね?」


補足

・見落としてしまいそう:
 結構いろんな場所に張ってあるんだけど、パッと見「何これ新しい」と思う見た目じゃないので、わからない。マーカーもつかないし。

・決して安くはない:
 物乞いが1セプティムで1日の食事にありつける。……人らしい食事と思ってはいけないが。一般人は年間貯蓄が5セプティム。500セプティムの借金のために殺されることすらある。こういったことを基準とすると、300セプティムは決して安くはない。
 ただ、稼ぐ過程での経費を考慮すると、割に合わない、という事態にはなるだろう。ここら辺が「冒険者にとっては腕による」となる問題。大抵の冒険者は、徒党を組んで数で押すか、ポーション飲んで赤字ぎりぎりになるのが普通なんじゃないかな。

・不審の糸:
 なんか裏がありそうな雰囲気だしてるけど、テストプレイしてないのでわからぬ。何となくこの人敵側だったりしないかな、って思っただけw
 なので外れたらスルーされますw

・汗臭そう:
 文科系クラブの人から見た運動部全般の認識ってこんなもんじゃないかなあ(暴言)。
 少なくても鍛錬場とかは間違ってないと思う。え? PCたち? 風呂にちゃんと入ったり香水使ってごまかしたりはしてるけど、冒険直後は汗かいてますよ?

・魅了魔法:
 普通に話しかけたら好感度50で足りなかったので、買い物の時に使ってる魅了魔法を使いましたw

・西の教会:
 とっても“素敵”な教会なので、よろしかったら行ってみるとよいのではないでしょうか? キャドルー聖堂っていうんですけどね?

・最も手っ取り早くなる:
 まあ、FTポイントがあればそれが一番楽なんですが(キャドルー聖堂がホント目の前)、初の場合、河泳ぐのが一番早いです。けど、ここなんマイルあるんでしょうね、設定上w

・治ったわけじゃない:
 DNAの異常が、リッチ化したところで直るか、と言うお話。ただ、ペナルティは受け無くなってますが。死体だから。

・マヒャド:
 MIDASの魔法。威力は強化してあります。でも、MIDASってDQよりFFっぽい魔法が多いのよねw

・メゾソプラノ:
 おかーさんの声域のイメージ。妹と娘たちはみんなソプラノ。因みにソプラノとあるとの中間の事やで。
 非血族まで言及すると、アンとイグニスはアルト。リンとヴィオラ、それにリアはメゾソプラノのイメージ。
 カエルレウムは割と豊かなバスで、おとーさんは素晴らしいバリトンの美声のイメージ。

・自分の放った:
 自爆したwww
 とはいえ、魔法吸収、魔法耐性が機能するので、致命傷にはなりませんでした。……まあ、炎は比較的効きやすいんですけどね。

・小さい:
 ワンフロアでしたから。

・成りそこない:
 モンスター・リッチが『なりそこない』と言うイメージは、正直言うとラスラさんのリッチな日常の影響。
 でもマニマルコの事考えると、やっぱりなりそこないだろうな、って思う。魔法使いにとってはかなりやり辛い強敵なんですけどね。耐性ないと魔法も痛いし。杖があれなケースが多いのが救い。

・遺跡荒らしは趣味:
 正直なところ、リッチとリビングデッドなので飯食わなくても生きていける。なので、生きるために働く必要はないのだ。猫は魚とってろw
 ついでに正義もない。まあ、大量破壊計画の類は止めるけど、これも自分や身内が巻き込まれるから、なので、巻き込まれない保証があれば止めない。
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コメント

非公開コメント

No title

おはようございます、お邪魔しに参りました♪
アイレイドステップは途中まで進めて結局放置したまま抜いちゃったなぁ…いや、個人的に名詞和訳していつか再チャレンジしようかと思ってはいるんですが、抽出したテキストを眺めてう~ん…といった状態ですw
Bartholmでエライ目に遭いましたしね、名詞だけでもあれだけ大変なのに1から訳してしまう方々、ぱねぇっすマジで。
ところでタイムリーにブランブルポイントに潜って動画上げたところですしキャドリューは当然大暴れして参りましたw 入って即サイコ→回転切りという非道ぶり、どっちが悪役なんだか…w
ULやHESUさんModてんこ盛りでどこまでステップが見えているか定かではありませんが、また1からやってみたいな、TASも。
ではでは、簡単ですがこれにて。更新お疲れ様でしたっ
また覗きに伺いますね~( ゚∀゚)ノ゙

>Ta22 さん

 どもも~。
 こっちもテストプレイを兼ねてるので、途中で抜く可能背は無きにしも非ずですw
 Bartholm……はブラヴィル対岸の都市MODでしたっけ? あれって和訳パッチなかったのか。

>タイムリー
 実は、キャドリューは入ってないおかーさん。泳いで水着のまま遺跡に飛んで、そのまま本性表して帰りましたw

 またきてね~