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2020/09/12

Thieves Guild HQ その6

 某日、帝都ファーストブック・地下室。

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「あのケースに依頼された本があるはず、ということか……って、開いてる?」


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「カード? ってこれは……!」

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「やられましたな」

 トニーに報告をした時の第一声がそれであった。

「黒い短剣の共同体の連中は、粋がってるだけの未熟者の集まりだと思ってましたが……貴女の先回りをするとは」
「オレの情報を得ているのか、偶然なのかで話は変わってくるな」
「確かに。その辺も含めて、こちらも考えを変えねばならないようです。それはそれとして、アーマンドから次の仕事を頼まれていまして」


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「で?」
「で、とはご挨拶だな。先日の一件以来考えていたんだが、やはり連中を打ちのめすには、こちらが先んじて仕事を成し遂げるしかない」
「昨日出し抜かれたばかりだがな」

 不機嫌さを隠しきれないアンの声に、アーマンドは沈痛な声で頷いた。

「ああ、それは俺もさっき聞いた。だからなおさら、だな。それもあって、あんたには“カロの宝石”を盗んでほしい」
「カロ? カロってカロ家のことか?」
「そう、レーヤウィンの伯爵様の秘宝さ。噂によるとレーヤウィン城の隠し部屋に保管されているらしい」

 伯爵家の秘宝、それも隠し部屋に隠されたとなると、それを成し遂げた時のギルドの評価はどうなるか。

「俺はすでにサマンサをレーヤウィン城に送ってある。使用人として事前調査をさせるためにな。彼女に会って計画を練ってくれ」




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「よう、元気にやってるようだな」

 アンがサマンサを見つけた時、彼女はちょうど休憩中のようだった。

「ええ、おかげさまで。せっかくだし何か飲む?」

 周囲に兵士もいるからだろう。サマンサは馴染みの友人にかけるような気さくな態度で接し──そのまま潜めた声で続けた。

「色々探索した結果、宝石の在りかの目星はつきました。地下に降りてすぐのところに戸棚があり、それを開くと隠し扉が見つかります。恐らく宝石はその先でしょう。但し、そこには特殊な鍵がかかっているようです。……さすがに鍵の位置はわかりません。ただ、伯爵のプライベートエリアにあるのが普通だとは思いますが……」
「さもなきゃ伯爵か夫人自身が持ち歩いているか、だな」



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 深夜、レーヤウィン城。アンはすでに場内に潜んでいた。
 何のことはない、最初から城を出ず、物陰に隠れていたのだ。
 深夜に城に入ろうとすれば、兵士の記憶に残る。故に人ごみに混ざり入城し、翌朝人ごみに紛れ退城することにしたのだ。


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 この城の地下室は、以前ギルドの仕事で侵入したことがある。伯爵夫人ご自慢の秘密拷問室につながっている場所だ。何ともご丁寧なことに、玉座のすぐ近くにあるのだから何ともはや。
 ちなみにそこからさらにプライベートルームにまで行ける。


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 見回りの衛兵を潜り抜け、サクッと寝室へ。


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 ……伯爵はよく眠っていた。
 もしアンが、盗賊ではなく暗殺者としてここを訪れていたのたら、彼は夢に溺れたまま九大神の御許に行ったであろう。伯爵夫人がいないのは、おそらく里帰りの時期か。

「ここにもない、か」

 部屋中の引き出しを漁ってみたが、それらしいものは無し。こうなったら伯爵の懐を漁るか。腕には自信があるが、それでもすりは通常の盗みと一線を画すリスクがある。どうしたものかと悩むアンの目に、一冊の本が止まった。

「これが日記ならヒントでも書いてあるかもしれない、か」

 ヒントの書いてある日記じゃなかったら、すりを試すしかないな、と本を取ると、それが本ではないことに気づいた。

「これ、よくできてるが、箱だな」

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「BINGO!」

 本の形をした箱の中には、鍵と宝石が。まず間違いなく、これが隠し部屋の鍵だろう。ありがたく全ていただく。


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「で、この戸棚が秘密の入り口、ね」

 玉座側から地下室に入ったすぐそこに、それはあった。だが、この大きさでは、大柄なものは入れないかもしれない。
 無論、アンは小柄な方なので問題なかったが。


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 隠し戸を抜けた先の格子を先ほどの鍵で開け、そのまま進んだ先は──

「……広いけど、何もない……」

 宝物庫というには殺風景すぎ、そして無駄に広い場所である。せめてほかにも宝を置けばいいのに、と呟きながらアンはショーケースへと近づいた。


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「これがカロの宝石、か。ありがたくいただくとするか」

 後はこのちゃちな鍵を開けるだけ、とケースに手をかけたその時。

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「宝石は渡さねえぞ!」
「うわ、うおおおおおわわわわわ!?」

 ケースの裏側に隠れていたのだろう、いきなり武装強盗が飛び出してきた。
 他に誰かがいるとは完全に想定していなかったアンは、狼狽し後ろに下がる事しかできない。辛うじてナイフを抜くことには成功したが、その姿をギルドのものが見れば、その功績からは想像もつかぬ姿に幻滅したかもしれない。
 それでも、襲撃者よりアンのバックステップの方が速い。距離を取り、ナイフを抜きながら相手を確認すれば、気も落ち着く。男がアンに追いついた──追いつかせたというべきだろう──時、アンはすでに戦闘態勢に入っていた。


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「全く、脅かすんじゃ」
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「ねえっての!」

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 火遁、などとも呼ばれる、アンの得意技。爆発を起こし、その衝撃で相手が昏倒している隙に透明化する、という派手な隠密技である。案の定男はアンの姿を見失った。

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「ちっ、逃げ出したか。臆病者め」
「そうだな。けど間抜けよりはマシだろ」
「なっ──!?」

 周囲を探索し、アンは逃げたと剣を収めたその瞬間、背後からその凶刃は襲い掛かった。

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 ──バックスタブ。隠密の使い手ならば、当然得意とし、そして最も警戒しなければならない致命打。アンはただの盗賊ではない。闇の一党最高の暗殺者、聞こえし者である。元、だが。
 男──黒い短剣の共同体の一員であった──のミスはただ一つ。アンに敵対していながら隙を見せた。それだけである。そしてそれこそが、最もやってはいけないことであった。



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「で、これがその宝石か。いやよくやってくれた」

 翌日。カロの宝石をアーマンドに渡すと、アーマンドは機嫌よく労った。

「実際、この勝利は大きなものだ。連中もこれに目をつけていたが、俺達に奪われた。貴重な実行犯を一人失ってな。連中のダメージは決して小さくはないだろう」

 無論、致命的なものでもないはずだ。これからあちらも反撃してくるだろう。しかし、盗賊ギルドが一方的に殴られる展開は終わったのだ。

「そうだな。だが、反撃で倒れるなよ? 今回だって連中の方が先に来てたんだ。鍵開けには手間取ってたみたいだがな」
「そこまで俺たちはやわじゃないさ。お前こそ、うちの攻撃の要だ。しっかり頼むぜ?」



 

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